はじめに
本サイトでは、向川惣一博士のレオナルド・ダ・ヴィンチの研究、特に画聖は幾何学を駆使して絵画を構成した事実を述べます。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、世に良く知られた、誇張すると世界に最も良く知られた絵画、フランスはパリのルーブル美術館におさめられている絵画「モナ・リザ」の作者であり、ルネサンスの天才、いな人類史上でも比類なき天賦の能力を持った人と知られている。他の天才と呼ばれる人々はその功績を残した分野において傑出しているが、レオナルドはその活躍した分野が芸術・数学・建築・土木・兵器の創造等に及んでおり、万能の天才とも言われる。物理分野のニュートンやアインシュタインと相並ぶとすると、人類史上500年、いな1000年に一人の天才、巨人と言えるだろう。
古来この天才については数多の人々が伝記・研究結果・評論を著わしてきた。ここにさらに著わそうとする内容は、レオナルドが数学を如何に考え、それを絵画に表したかに焦点を当てたものである。勿論、この観点からレオナルドの偉業を解き明かした著作は数多存在するが、残された手稿から画聖の思想、数学、主として黄金分割とそれを応用した遠近法の手法が全て解き明かされたわけではない。
レオナルドはウィトルウィウスの「建築書」によって伝えられた「シンメトリアの理法」を彼自身の解釈によって絵画に実現したと言える。シンメトリアの理法とは古代ギリシャの建築、彫刻の美の基本となる技法であり、美を感じさせる原理・法則を表したものである。
当然ながら、美を感じさせる形態を得たものが如何なる数学法則を実現したものであるかが問われる。
天才レオナルドの成果の一つである絵画技法において、如何に数学を探究し、絵画の美を高めることに腐心したかを描きだそうとするものである。 向川博士は、レオナルドが黄金分割を絵画構成の基礎に置いたことを1991年に論文発表(日本語)した。このことは、小説「ダ・ヴィンチ・コード」(2003年)で、次いでその映画化で、レオナルドと黄金比の結びつきがセンセーショナルに表される以前であり、ウィトルウィウス人体像と黄金分割の関係を扱ったクラウス・イーレとクラウス・シュレーアの1998年の論文発表以前のことでもあった。
向川博士の研究成果を表し、画聖の画業の秘密を解き明かすとともに、我々が画面から受ける芸術の真髄をさらに深く味わうことができる境地へと誘おうとするものである。
向川惣一博士の原論文は、金沢美術工芸大学学術リポジトリ内の、「レオナルド・ダ・ヴィンチ:その絵画と比例理論に関する研究」です。
向川惣一:1952年4月15日生まれ(レオナルド・ダ・ヴィンチと誕生日が同じ)、金沢美術工芸大学卒業、東京藝術大学助手、札幌市立高等専門学校助教授を歴任。2018年金沢美術工芸大学より、レオナルド・ダ・ヴィンチの研究について博士号を授与される。野々市市在住。
サイトプレゼンター:元NTT研究員、元金沢工業大学教授。趣味は絵画・クラシック音楽・寺院仏像・能の鑑賞。金沢市在住。